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【二次創作】劇団三年物語「御伽草子」 小津鬼.ver

2008 - 11/27 [Thu] - 00:03

劇団三年物語「御伽草子」 小津鬼.ver


(本編↓)
---------------- キリトリセン ----------------

喉元に突きつけられた鈍い色を湛える刃。
膝丸蜘蛛切。
この光景には覚えがある。突きつけられた刃、自身へと向けられた殺気、一文字に結ばれた口元、鋭い眼光。その瞳に残る、懐かしい面影。
覚えてる。
忘れない。
二度目だ。
兄上は、もう僕を覚えていないのだろう。僕とした約束も、きっと忘れているのだろう。でなければ、僕のことを覚えていたら、約束を覚えていたら、僕に刃を突きつけたりしない。
覚えてないからできるんだ。
忘れているからできるんだ。
そうだよね。兄上。
僕のことも、約束のことも、全部、覚えてないんだよね。
《……兄上》
《小津鬼……》
いいんだ。
もういいんだ。
兄上が僕を覚えていないのなら、誰も僕を覚えていないのなら、ここで終わってしまっても、誰も覚えていないのだから。
終わろう。
《……本当にいいのか?》
《いいんだ……》
兄上なら、きっと、こうしたから。
僕の馬鹿げた野望を、兄上は許さない。兄上なら、僕を止めてくれる。僕を殴ってでも止める。殴って、叩いて、突き飛ばして、押し付けて、必死で、僕を、幼い僕を、未熟な僕を、弱い僕を、絶対に止めてくれる。
止まるまで、止める。
終わるまで、追う。
そう、きっと、兄上なら、殺してでも僕を止める。
覚えてる。
忘れない。
兄上の拳は、本当に痛かった。
「兄上……」
風が頬を撫でた。
閉じていた瞼を開けると、刃が首の手前で止まっていた。
兄上……?
ここからでは顔が見えない。
ただ、小さく揺れる刃だけが、停止した大気に音を放っていた。
声を出せば届くだろう。
想いを乗せれば聞こえるだろう。
しかし、次の刹那には、刃はそこから消えていた。
代わりに、僕の瞳に写るのは、三日月のように輝く曇りのない刃。そこには、僕の顔が映っている。
声が降ってくる。



「お前は私に、覚えがあるか?」



「お前は僕を、覚えているのか?」

刃に映る僕が答える。
見上げると、そこには懐かしい微笑があった。
「……久々能智」
懐かしい微笑みは、さらに口角を上げて、僕を鼻で笑っていた。




【小津鬼.ver END】

---------------- キリトリセン ----------------


本編は、劇団三年物語シーズン2 第1回公演「御伽草子」の二次創作です。
読み終えた後、「三年物語」に少しでも興味を抱けて頂けたら、幸いです。

以下、リンクです。
■ 劇団三年物語さま



感想などありましたら、【一言版】にお願い致します。


【二次創作】劇団三年物語 【目次】へ


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